気体の状態方程式

第58回気象予報士試験・問2

湿潤空気における気体定数や水蒸気量について述べた次の文章の空欄(a)、(b) に入る数値の組み合わせとして適切なものを、 次の①から⑤の中から1つ選べ。ただし、乾燥空気の平均分子量及び水蒸気の分子量はそれぞれ29と18であり、乾燥空気の気体定数は287Jkg-1K-1、27°cの飽和水蒸気圧は36hPaとする。 
理想気体における一般気体定数と乾燥空気及び水蒸気の気体定数の関係から、 水蒸気の気体定数の値は約(a)Jkg-1K-1である。 ある湿潤空気の温度が27°c、 相対湿度が50%とすると、 水蒸気の状態方程式から、 この湿潤空気1m3あたりの水蒸気の質量は約(b)kgである。

③ (a)462, (b)0.013

湿潤空気における気体定数や水蒸気量について

乾燥空気の平均分子量及び水蒸気の分子量はそれぞれ29と18であり、

この数字は、1mol(モル)あたりの重さですね。

乾燥空気の気体定数は287Jkg-1K-1、

乾燥空気の気体定数:Rd=287Jkg−1K−1Rd=287 \, \mathrm{J \, kg^{-1} \, K^{-1}}

27℃の飽和水蒸気圧は36hPaとする。 

理想気体における一般気体定数と乾燥空気及び水蒸気の気体定数の関係から、 水蒸気の気体定数の値は約(a)Jkg-1K-1である。

求めるのは水蒸気の気体定数です。

与えられた条件は以下。

  • 乾燥空気の気体定数:Rd=287Jkg−1K−1Rd=287 \, \mathrm{J \, kg^{-1} \, K^{-1}}
  • 乾燥空気の分子量:29

乾燥空気の気体定数と水蒸気の気体定数は、分子量に反比例し、一般気体定数は同じなので・・・

水蒸気の気体定数 × 18 = 乾燥空気の気体定数 × 29

水蒸気の気体定数 × 18 = 287Jkg−1K−1287 \, \mathrm{J \, kg^{-1} \, K^{-1}} × 29

水蒸気の気体定数 = 287Jkg−1K−1287 \, \mathrm{J \, kg^{-1} \, K^{-1}} × 29

水蒸気の気体定数=287Jkg−1K−1×2918\text{水蒸気の気体定数} = \frac{287 \, \mathrm{J \, kg^{-1} \, K^{-1}} \times 29}{18} ≒ 462.96・・・・・(a)

ここで、選択肢は③と④に絞られます。

ある湿潤空気の温度が27°c、 相対湿度が50%とすると、 水蒸気の状態方程式から、 この湿潤空気1m3あたりの水蒸気の質量は約(b)kgである。

求めるのは、1m3あたりの水蒸気の質量。← kg/m3 だから密度を求めれば良いのですね。

問題文より、27℃の飽和水蒸気圧は36hPaなので

上記の湿潤空気の水蒸気圧は、36 × 50% = 18hPa 。

ここで、気体の状態方程式を使います。

 P=ρRTP = \rho RT

 36×100×50%=ρ×462×(27+273)36 \times 100 \times 50\% = \rho \times 462 \times (27 + 273)

 ρ=36×100×50%462×(27+273)\rho = \frac{36 \times 100 \times 50\%}{462 \times (27 + 273)}

 ρ≒0.013kg/m3\rho \fallingdotseq 0.013 \, \mathrm{kg/m^3}

だから(b)は、0.013!

気体定数とは

気象予報士試験や気象学に使われる気体定数には

  • 一般気体定数
  • 乾燥空気の気体定数
  • 水蒸気の気体定数

などがあります。

一般気体定数

一般気体定数とは、理想気体 1 mol1 \text{ mol} の温度を 1 K1 \text{ K}(ケルビン)上げるために必要なエネルギー(仕事)の大きさを表しています。

mol(モル)とは mol(モル)とは

乾燥空気の気体定数・水蒸気の気体定数(比気体定数)

※比気体定数という用語は覚えなくて良い。

乾燥空気の気体定数・水蒸気の気体定数は、それぞれ1kgを1K上げるためのエネルギーの大きさを表しています。

「1キログラムあたり(比気体定数)」:分子量が小さいほうが大きくなる

では、気象で使う「1 kg あたり」に基準を変えるとどうなるでしょうか。ここからが逆転現象です。

  • 水蒸気(分子量18:軽い)
    1粒が軽いので、1 kg 集めるためには大量の粒(モル数)が必要になります。
    →1kgあたりのモル数が大きい
  • 乾燥空気(分子量29:重い)
    1粒が重いので、少しの粒の数でガツンと 1 kg に達します。つまり粒の数(モル数)は少ないです。
    →1kgあたりのモル数が小さい

一般気体定数ではない、乾燥空気の気体定数や水蒸気の気体定数は「1 kg あたりのエネルギー」です。
1 kg の中に圧倒的にたくさんの粒が詰まっている「水蒸気」のほうが、合計のエネルギー(比気体定数)は大きくなります。

はれの
はれの

それでも1モルあたりで見ると、同じ気体定数になります。

つまり、乾燥空気の気体定数や水蒸気の気体定数(比気体定数)は、分子量に反比例する関係にあるのです。

比気体定数 Ri=一般気体定数 R分子量 M\text{比気体定数 } R_i = \frac{\text{一般気体定数 } R}{\text{分子量 } M}

変形すると 比気体定数 Ri× 分子量 M= 一般気体定数 R\text{比気体定数 } R_i \times \text{ 分子量 } M = \text{ 一般気体定数 } R

気体の状態方程式を使う問題が解けないのはなぜか

問題で与えられた要素から、気体の状態方程式を使えば解ける!という思考にならないことが原因か

他にわからなくなる要素があるのか・・・

ある程度は、「慣れ」「アウトプット」で対応できます。

入手できる過去問は、できるだけチャレンジしましょう

第65回気象予報士試験学科一般・問2

問2

静力学平衡の状態にある乾燥空気の気層において、上面と下面の高度差をΔz\Delta z、気圧差をΔp\Delta p、平均密度をρ\rho、重力加速度をggとするとΔp=−ρgΔz\Delta p = – \rho g \Delta z の関係が成り立つ。

ここで Δz=100m\Delta z = 100\,\mathrm{m}、気層の気圧の平均値を 500hPa、平均気温を -23°C としたときのΔp\Delta p の絶対値として適切なものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。

ただし、g=10ms−2g = 10 \text{ms}^{-2} 、乾燥空気の気体定数は 287JK−1kg−1287\text{JK}^{-1}\text{kg}^{-1} とする。

第54回気象予報士試験学科一般・問2

解説はこちら(期間限定公開)

第52回気象予報士試験学科一般・問2

湿潤空気について述べた次の文章の空欄(a)〜(c)に入る適切な語句の組み合わせを, 下記の1〜5の中から一つ選べ。ただし,大気は静力学平衡の状態にあるものとする。

ある湿潤空気に対して,同じ圧力,同じ(a)をもつ乾燥空気の温度を仮温度と定義 することにより,湿潤空気の状態を表す式として,乾燥空気に対する状態方程式を用いる ことができる。ある気圧における湿潤空気の温度と仮温度とを比べると,仮温度の方 が(b)。ある地点において高度 H から大気上端までの空気の仮温度が高いほど, 高度 H での気圧は(c)。

解答 ① (a)密度,(b)高い,(c)低い

では順に説明していきます。

ある湿潤空気に対して,同じ圧力,同じ(a)をもつ乾燥空気の温度を仮温度と定義 することにより,湿潤空気の状態を表す式として,乾燥空気に対する状態方程式を用いる ことができる。

(a)の選択肢は「密度」と「比熱」です。

仮温度の定義は「ある湿潤空気と『同じ気圧』と『同じ密度』を持つ乾燥空気の温度のこと」なので、(a)は「密度」です。

仮温度について、詳しくまとめています▶︎▶︎▶︎仮温度

次…

ある気圧における湿潤空気の温度と仮温度とを比べると,仮温度の方 が(b)。

ある地点において高度 H から大気上端までの空気の仮温度が高いほど, 高度 H での気圧は(c)。

7月18日

7月18日の個人授業 7月18日の個人授業