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【問題】熱力学過程と降水量の推定
標高0mの地点A(気温 24.0℃、相対湿度 60%)にある空気塊が、標高3,000mの山頂Bを越え、標高500mの地点Cまで移動した。以下の条件と「飽和水蒸気量表」に基づき、後の問いに答えよ。

【条件】
- 乾燥断熱減率: 1.0℃/ 100m
- 湿潤断熱減率: 0.5℃/ 100m
- 露点温度減率(未飽和時): 0.2℃/ 100m
- 山頂Bで凝結した水分は、すべて雨として落下したものとする。
【飽和水蒸気量表】
| 気温 (℃) | 24 | 16 | 14 | 6 | 5 | 4 | 3 |
| 飽和水蒸気量 (g/m3) | 21.8 | 13.6 | 12.1 | 7.3 | 6.8 | 6.4 | 6.0 |
問1:高度(LCL)と山頂(3,000m)での気温
空気塊が飽和する高度(LCL)と山頂(3,000m)での気温の組み合わせとして正しいものはどれか。
| LCL(高度) | 山頂の気温 | |
|---|---|---|
| ① | 1,000m | 4.0℃ |
| ② | 1,000m | 9.0℃ |
| ③ | 1,250m | 4.0℃ |
| ④ | 1,250m | 5.0℃ |
| ⑤ | 1,500m | 1.5℃ |
問1 正解: ①
- LCLの算出:
地点Aの露点温度を求める必要がありますが、ここでは「相対湿度60%」という罠があります。24℃の飽和水蒸気量は 21.8g/m3。その60%は 13.08g/m3。表からこれに近いのは16℃(13.6g/m3)付近。
(※露点温度を約16℃と仮定すると、LCL = (24-16)/(0.01-0.002) = 1,000m となります) - 山頂気温の算出:
1,000mまで乾燥上昇: 24 – (1.0 × 10) = 14℃
1,000mから3,000mまで湿潤上昇: 14 – (0.5 × 20) = 4℃
問2:落下した降水量
山頂(3,000m)で凝結し、落下した降水量(水蒸気量の差)として最も近い値はどれか。なお、計算の簡略化のため、空気塊 1m3 あたりの質量変化は無視できるものとする。
① 5.7 g/m3
② 6.7 g/m3
③ 7.2 g/m3
④ 9.6 g/m3
⑤ 15.4 g/m3
問2 正解: ②
1. 地上(地点A)の「実際の水蒸気量」を出す
- 24.0℃の飽和水蒸気量 21.8g/m3 に湿度 60% をかけます。
- 21.8 × 0.6 = 13.08 g/m3
2. 山頂(3,000m)の「飽和水蒸気量」を出し、差を求める
- 山頂の気温 = 14.0 – (0.5× 20) = 4.0℃
- 表より、4.0℃の飽和水蒸気量は 6.4 g/m3
- 降水量 = (地点Aの水蒸気量) – (山頂での水蒸気量)
- 13.08 – 6.4 = 6.68 g/m3
【ここに注意】
実は、「凝結が始まるのはLCL(1000m)」ですが、空気塊が持っている「元の水蒸気量」は 13.08g/m3 です。
問1で求めたLCLに引っ張られてしまうと間違えます。
問3:地点Cの気温
山頂Bに達した空気塊が、標高500mの地点Cまで吹き降りたときの気温として最も適切なものはどれか。
① 21.5℃
② 24.0℃
③ 29.0℃
④ 31.5℃
⑤ 34.0℃
問3 正解: ③
- 計算: 山頂(4.0℃)から地点C(500m)まで、標高差 2,500m を乾燥断熱変化で降下します。
- 4.0 + (1.0 × 25) = 29.0℃
複雑なようで、実はとても単純な問題でしたね。