第66回学科専門問2

問2:問題文

気象庁が行っているラジオゾンデを用いた高層気象観測について述べた次の文(a)~(c)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。

(a) ラジオゾンデによる高層気象観測における「気温湿度特異点」とは、ある地点で得られた観測データから、気温・湿度の鉛直構造の特徴をエマグラムなどで適切に再現できるように選択された観測点のことをいう。

(b) 気象庁は全国16か所の観測所でラジオゾンデによる観測を行っているが、気象庁の海洋気象観測船や南極昭和基地においてもラジオゾンデによる観測を行っている。

(c) 気象庁のラジオゾンデによる高層気象観測の観測範囲は地上から高度約30kmまでであるが、稀に成層圏界面を超えた高度まで観測データが得られることがある。

(a)(b)(c)
①正正正
②正正誤
③正誤正
④誤正誤
⑤誤誤正

② (a) 正, (b) 正, (c) 誤

解説

気象庁のラジオゾンデによる高層気象観測に関する問題です。


(a) 気温湿度特異点

問題文

(a) ラジオゾンデによる高層気象観測における「気温湿度特異点」とは、ある地点で得られた観測データから、気温・湿度の鉛直構造の特徴をエマグラムなどで適切に再現できるように選択された観測点のことをいう。

(a) は正文です。

気温・湿度の鉛直構造の特徴を再現できるような点を気温湿度特異点といい、 対流圏と成層圏の境界面を圏界面といいます。気温湿度特異点及び圏界面は国際的な取り決めによって選択していますが、その概要は次のとおりです。

【気温湿度特異点】

  • 気温及び湿度の顕著な変化点
  • 観測開始点、観測終了点及び湿度の最終点
  • 20hPa以上の厚さを持つ逆転層及び等温層の上下端
  • 欠測層の上下端
  • 圏界面
引用元;気象庁HP

気象庁の公開している資料に「エマグラムなどで適切に再現できるように」という記述は見当たりませんが・・・

一言で言えば、「エマグラムで大気の状態(気温や湿度の折れ線グラフ)を正しく描くために、絶対に欠かせないキーポイントとなる上空の観測データ(打点)が、気温湿度特異点である」ということです。

ラジオゾンデが上昇しながら測った膨大な連続データ(生データ)のすべてをエマグラムにプロットするのは不可能です。そこで、「ここを通る折れ線グラフを描けば、実際の大気の状態をほぼ完璧に再現できる」という折れ曲がり(特異点)だけを賢くピックアップしている、ということです。

過去の試験問題の正文に、こんなのがありました。↓

「ラジオゾンデ観測で得られた観測データにおいて、気温や湿度、風の鉛直分布の特徴を再現できるように選択された上空の観測点のことを『特異点』という。」

引用元;第60回気象予報士試験専門知識問3

(b) ラジオゾンデでの観測

問題文

(b) 気象庁は全国16か所の観測所でラジオゾンデによる観測を行っているが、気象庁の海洋気象観測船や南極昭和基地においてもラジオゾンデによる観測を行っている。

(b) は正文です。

記述の通り、常時観測を行う全国16か所のほか、海洋気象観測船や南極昭和基地でもラジオゾンデ観測が行われています。


(c) ラジオゾンデで観測可能な高度

問題文

(c) 気象庁のラジオゾンデによる高層気象観測の観測範囲は地上から高度約30kmまでであるが、稀に成層圏界面を超えた高度まで観測データが得られることがある。

(c) は誤文です。

ラジオゾンデの気球は高度約30kmで破裂するため、成層圏界面(高度約50km)を超えることはありません。

補足: ゴム気球は上昇して周囲の気圧が下がるにつれて大きく膨らみ、通常は高度約30km(成層圏の中層)あたりで耐えきれずに破裂します。
成層圏のさらに上にある「成層圏界面(高度約50km)」や「中間圏」まで到達することはないため、この記述は誤りとなります。

以上のことから、(a) 正、(b) 正、(c) 誤 となり、正解の組み合わせは ② になります。